Confluent Japan Community Blog

Confluent Japan Community が提供するストリーミングデータを扱うConfluent、Apache Kafkaに関する情報を提供します。

Confluent Japan Community が提供する apache Kafka および Confluent に関するブログ

データの活用の新たな方式

- リアルタイムデータの活用が鍵に -

 

・金融業界で起き始めた新たな動き

顧客データが様々な場面で利用されるようになり、個所で新しい動きが始まっています。ここ最近の動きでは、最も変化が起きにくいと言われている金融ビジネスへの異業種参入が多く起きています。これは1996年~2001年にかけて行われた大規模な金融制度改革である金融ビッグバン以来約30年ぶりの大きな変化になっています。これを可能にしているのは、すでに別のサービスで膨大なユーザーベースを保持しており、そのユーザーベースやラストワンマイルを可能にするサービスなどの強みを持っていることがポイントになっています。そして、そのユーザーの膨大なデータを活用してサービスの差別化などで既存の市場支配者への対抗が可能になっている時代の変化がもたらしています。

f:id:Confluent:20190227193530j:plain

引用元:日本経済新聞「金融勢力図、データが変える KDDI、カブコムに出資へ」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40448080V20C19A1EA2000/

 

数千万人というユーザーを抱えているだけではなく、そのユーザーのデータを活用できるプラットフォームを保持していることが既存の市場支配者と渡り合え、サービスの差別化を実現できる理由の一つに挙げられます。

データを保持するだけでなく、ユーザーにアプローチできるラストワンマイルの手法を持っていることも大きな要素になります。

データを保持し、活用し、活かせる状態を構築できているわけです。

 

実際に中国で起こった一つの例を見てみましょう。

中国では、もともと通貨の信用が低く一つの社会問題になっていました。そこで国が推進して通貨のデジタル化を進めました。最近日本でも話題になっているスマホ決済になります。この決済のメインを抑えたのは、アリババとテンセントというインターネット企業になります。中国のスマホ決済金額は、2,000兆円を超え、その80%以上をこの2つの企業が提供しています。さらに全ての決済において誰が、いつ、何を買ったのかという情報をデータとして保持します。このデータを利用し、様々なビジネスに活用しています。その活用は、今までとは全く異なる形のビジネスを生み出しています。

例えば、金融におけるアクティビティ、そのユーザーの繋がりなどのデータから信用データを作成して使うことが行われております。このようにデータを集め、活用していくという流れはまったく新しいです。それらに対応できるプラットフォーム構築は企業の大きな課題になります。

 

参考資料:

電子商取引に国際ルール データ移動焦点に

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO40506120V20C19A1EA4000/

コネクテッド時代を経てデータ時代へ

https://plazma.red/ces2019-vol1/

・同じような動きはさまざまな業界で起きている

データを使うことでより高いレベルのサービスを提供することやより多くのサービスを生み出すことができます。データを活用する例としては以下のようなものがあります。

 

Uber

Uberは、自動車配車サービスを提供する世界的な企業であり、アメリカでは数多くの車がUberを通じて配車され、人々がそれを利用して移動を行っています。Uberは一般人がドライバーとして運転する車にユーザーが乗客するもので、そのサービスの向上などが企業としての継続性として非常に重要な要素を持っています。

その中で日々何十テラバイトのデータ※を収集(2018年10月現在)し、空きの車がどのくらいあり、どのくらいの客を運んでいて、キャンセル数などをリアルタイムで把握し、そのデータをサービスに役立てています。

もちろん、いつ、どこで客が利用しているかを把握しているため、オンラインにおけるユーザーサポートも必要なときに必要な形式で行うことができます。データを活用することでUberのサービスクオリティが高まり、成功の助けになったことは間違いありません。

同じサービスを提供しているLyftも同様にデータを活用してサービス向上を行っています。

※引用元:Uber Engineerir

https://eng.uber.com/uber-big-data-platform/



・Severstal

Severstalは、ロシア最大の鉄鋼企業であり、データ活用が新たな局面に入っている典型的な例になります。製造業におけるデータの活用は、IoTとの関係があります。生産規模の拡大はもちろんのこと効率化や製品の品質における部分をどのようにして対応するかという部分にデータを用いています。単純なデータ化ではなく、Severstalは、製造している機械のデータをリアルタイムに取得し、機械の状況などを把握することで故障の検知であったり、機械のモード変更等をしています。これにより機械が故障する前に発見し、対策を行うことができるようになりました。これが生産性の向上と製品の品質向上に貢献しています。

集めたテラバイト級のデータはリアルタイムの分析だけではなく、機械学習にも使われ、リアルタイムでシステムの不具合や故障の予見までも可能にしています。

f:id:Confluent:20190227193755p:plain

 

このようにデータの活用はマーケティングなどの集客等に利用するだけではなく、IoTなどを活用した自社の効率化や品質向上にも重要な役割を果たしています。これは世界における事例のように見えますが、日本でも多くの企業がデータの収集、活用を実践しています。

 

例えば、広告代理店最大手の電通では、ピープルドリブンマーケティングという名称でデータの収集、活用を行っています。サービスを提供している企業のWebサイトのデータを収集し、その収集したデータと2ndパーティー、3rdパーティーのデータを結び付けてより最適なサービスを提供できるように活用しています。これは活用だけではなく、CMなどのリアルの宣伝活動に対して、ネット上でのユーザーの動きがどのように変化しているかを把握し、リアルタイムでレコメンドの表示などを切り替えるといったデータの連携に利用しています。

昨年日本に上陸し、ソフトバンクがサポートしているシェアオフィスのWeWorkはユーザー向けのアプリ、社内の監視カメラを使ったユーザーの行動、時間軸でどのように利用されているかといったデータをすべて集約して分析することで必要なサポートや対応をしています。また、オフィスの活用のデータを利用してリアルタイムのレコメンデーションに役立てています。

このようにデータの活用は、エンドユーザー向けのサービスへの活用だけではなく、広告代理店のようなBtoB向けのサービスを提供している会社や、自社の業務における活用等、様々あります。

 

・新たなパラダイムへの対応

前章でも伝えたようにデータ処理とその活用が重要な要素になります。そのためには一連の流れを設計する必要があります。その設計を行う際には、将来における新たな活用に向けて柔軟に対応できるように行う必要があります。

データは、日々様々形で生まれてきて、そのデータを活用することが行われます。未来にどんなデータが発生するかが把握できないというだけでなく、既存データの活用においても把握することは不可能です。そのため、ビジネスの伸長やサービスの拡張などで新たに発生するデータの登録、データの活用に柔軟に対応していくプラットフォームを構築する必要があります。

 

データは、インプット、アウトプットがあり、そのデータはさまざまな種別のものがあります。また、データ元のシステムとデータを配信するシステムとは全く異なるシステムになります。このような状況が常に発生する中でどのようにパラダイムシフトへ対応していくかを考える必要があります。 

まとめ

 

データ活用、特にリアルタイムに永続的に発生するデータをどのように活用するかという部分に大きなパラダイムシフトが起きています。これらのデータを格納するだけではなく、リアルタイムに活用するプラットフォームをどのように構築するかを考えていきます。

これらを実現するプラットフォームとして、オープンソースのストリーミングデータプラットフォームであるApache Kafkaとその商用パッケージであるConfluentについて次回の記事で説明します。